2015年06月03日

キンモクセイ散る

 10月に入り東京の住宅地を歩いていると、気づくことが
ある。甘いキンモクセイの香りがあちこちからほのかに流れ
てくるのである。まずその香りで気づき、それから周囲を見
回し、小さな検色の花をいっばいつけた立木を見つけて「あ、
こんなところにも……」と思う。その木の数の多さに驚かさ
れるのだ。きっとあの家の人もこの家の人も、この芳香を楽
しむためにキンモクセイを植えたのだ、と思う。そして、会っ
たことのないその家の人に、“同類”としての親しみを感じる。

私の家の庭にも、背の高いキンモクセイが1本立ってい
る。しかし西側の竹林の脇にあり、楓などの広葉樹に覆われ
ているため、日照が足りなくて花をつけない。それでも、こ
の時期になるとどこからともなくあの芳香が漂ってくる。妻
に聞くと、隣の家にあるのだという。今年の3月、私の家
の北側の花壇に手を入れたついでに、高さ1.2メートルほ
どの幼木をそこへ植えた。植えた年に花は期待できないと
思っていたが、条件が良かったのか、10月の初めに花をいっ
ばいつけてくれたので、妻と2人で喜んだ。その花は、今
はもう跡形もない。



Posted by understanding at 12:03
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